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寒地型芝草の種類と特性
< 2011年02月18日更新 Ver.2.0 >

寒地型芝草の基礎知識

芝草には実に多くの種類(種)がありますが、それらは全て寒地型芝草(Cool season turfgrass)と暖地型芝草(Warm season turfgrass)の2種類に大別されます。注1

暖地型芝草が摂氏25度以上の暑い気候を好むのに対して、寒地型芝草は15〜25度程度の穏やかな気候を好みます。寒地型という言葉の印象から、よく寒さを好む芝と思われがちなのですが、決してそうした意味ではなく、暖地型よりは冷涼な気候を好む芝、寒さに耐えられる芝という程度の意味なのです。

寒地型芝草の魅力は、何といってもその葉色の美しさでしょう。淡い緑色の暖地型芝草に比べて、寒地型芝草のそれは実に鮮やかです。また、冬期であっても緑の葉色を維持できることから、エバーグリーン(常緑)の芝草としても利用されております。注2

注1:日本芝(和芝)と西洋芝(洋芝)という分け方もありますが、西洋芝=寒地型芝草ではありません。暖地型芝草であるバーミューダグラスなども西洋芝に含まれます。

注2:寒さの厳しい地域では葉色が落ちますので、良好な緑を保つためにはシート掛けなどによる防寒対策が必要です。

代表的な寒地型芝草の種類

寒地型芝草には以下のような種類があり、それぞれに異なる特性をもっています。ゴルファーには馴染みの深いベントグラス(俗にベント芝と呼ばれることもあるようです)もこの仲間です。※()内は英名です。
Agrostis クリーピングベントグラス(Creeping Bentgrass)
コロニアルベントグラス(Colonial Bentgrass)
ベルベットベントグラス(Velvet Bentgrass)
Poa ケンタッキーブルーグラス(Kentucky Bluegrass)
アニュアルブルーグラス(Annual Bluegrass)
※和名はスズメノカタビラで、一般的には雑草として扱われます。アメリカではポアナ(Poana)とも呼ばれ、芝草の一種として扱われています。
ラフブルーグラス(Rough Bluegrass)
Festuca トールフェスク(Tall Fescue)
ファインフェスク(Fine Fescue)
※細葉のフェスクという意味で、クリーピングレッドフェスクやチューイングフェスクなどが含まれます。
Lolium ペレニアルライグラス(Perennial Ryegrass)
イタリアンライグラス(Italian Ryegrass)
インターメディエイトライグラス(Intermediate Ryegrass)
※ペレニアルライグラスとイタリアンライグラスの交配種です。インターメディエイトとは英語で「中間の」という意味です。

代表的な暖地型芝草の種類

ご参考までに代表的な暖地型芝草についてもご紹介しておきます。日本芝と呼ばれ、わが国で古くから利用されているノシバ、コウライシバなどは全てこちらに含まれます。※()内は英名です。
Zoysia ノシバ(Japanese lawngrass)
※代表的な日本芝です。ゴルフ場、運動場、庭園、公園など様々な場面で広く使用されています。
コウライシバ(Manilagrass)
※ノシバよりも小型の日本芝です。芝庭用としても人気の高い芝です。
ビロードシバ(Mascarenegrass)
※非常に葉の細い芝でキヌシバとも呼ばれます。観賞用としては良いのですが、芝生としてはほとんど利用されることはありません。
Cynodon ギョウギシバ
※日本に自生する大型のバーミューダグラスです。学名は下のバーミューダグラスと同じですが、別の芝として扱います。日本芝の一種です。
バーミューダグラス(Bermudagrass)
※ギョウギシバよりも小型の芝です。西洋芝として扱います。
アフリカンバーミューダグラス(African Bermudagrass)
ティフトン・バーミューダグラス
※バーミューダグラスとアフリカンバーミューダグラスとの交雑種(ハイブリッド)です。ティフトン芝とも呼ばれます。種子繁殖はできません。
Stenotaphrum セントオーガスチングラス(St. Augustinegrass)
※九州・沖縄地方では広く使用されています。比較的日陰に強い芝です。
Eremochloa センチピードグラス(Centipedegrass)
※近年、わが国では畦畔の省管理を可能にする芝として脚光を浴びています。
Paspalum シーショアパスパラム(Seashore paspalum)
※耐塩性の非常に高い芝で、ハワイ、グアムなどのゴルフ場ではグリーンにも使用されています。わが国でも沖縄のゴルフ場で見ることができます。

暖地型芝草と寒地型芝草との比較

  暖地型芝草 寒地型芝草
気象条件 温暖な気候を好む 冷涼な気候を好む
土壌条件 あまり選ばない 砂質土壌を好む
耐暑性 非常に高い(暑さを好む) 低い(高温多湿の条件を嫌う)
耐寒性 低い(冬期休眠する) 非常に高い
耐乾性 高い 一般的に低い(一部強いものもある)
耐病性 一般的に高い 一般的に低い
生育期の葉色 やや劣る(淡い緑色) 極めて美しい(鮮緑色〜濃緑色)
冬期の葉色 白く冬枯れする 緑を保つが、寒さが厳しい場合は葉色が落ち、生育が止まる
生育期の成長速度 一般的に遅め 一般的に速い
芝生の造成方法 張り芝が主、一部は苗播きや播種も可 播種または張り芝
芝生管理の難易度 比較的易しい 一般的に難しい(特に夏期の管理)
芝生管理の作業頻度 比較的手間はかからない こまめな作業が必要
芝生管理のコスト 低い 高い
代表的な芝種 ノシバ、コウライシバ、バーミューダグラス、セントオーガスチングラス、センチピードグラスなど ベントグラス、ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライグラス、トールフェスクなど
主な用途 公園、庭園、芝庭、ゴルフ場のフェアウェイ、ラフ、サッカー場ほか ゴルフ場のグリーン、ティー、フェアウェイ、サッカー場、競馬場、寒冷地の芝庭ほか

芝草の分類表

しばしば寒地型芝草のことを西洋芝(洋芝)と呼ぶ場合がありますが、本来は以下のような関係にあります。これを見ていただくと、寒地型芝草が西洋芝とイコールでないことがご理解いただけると思います。
  暖地型芝草
(夏芝)
寒地型芝草
(冬芝)
西洋芝
(洋芝)
バーミューダグラス(ティフトンも含む)、セントオーガスチングラス、センチピードグラス、シーショアパスパラム クリーピングベントグラス、ケンタッキーブルーグラス、ペレニアルライグラス、イタリアンライグラス、トールフェスク、ファインフェスク
日本芝
(和芝)
ノシバ、コウライシバ、ギョウギシバ 該当なし