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芝生と共に半世紀 弊社の会長から芝生を愛する皆様へ

芝生の生産・管理・工事に半世紀携わってきた、プロのコラム
 482だより 2000年3月号

当社HPのURLに使用しているドメイン名「482」が「しばふ(芝生)」のことであり、当社の電話番号にも使用している数字であることは、以前にもこの482だよりでご説明したように思います。そこで今月は、この「しばふ」の語源についてお話ししたいと思います。

まず、「しばくさ」という語について調べてみたのですが、古くは万葉集の時代にまで遡るようです。万葉集の中に(770年頃)しばくさ(志婆草・柴草)という語が見られます。のちに「志波」という語も使用されております。

では、現在ゴルフコース管理の関係者が最も広く使用している「芝草」という言葉はいつから使用されるようになったのでしょうか?残念ながら、私の調べた限り、どこで誰が最初に使ったかを示す文献は見つかりませんでした。しかし、昭和28年に、私の大学の大先輩でもあり、この業界の先駆者でもあります館 粲児という方が、「生きる芝草の記録」という記事を霞ケ関カンツリ-倶楽部の広報紙に載せているところから、恐らくそれが日本で最初に使用された「芝草」という言葉ではないかと考えています。この「芝草」という言葉は、単に英語のturf grassを直訳したもののようにも思えますが、あの当時に、よくこの言葉を使ったものだと感心しております。

つぎに、「芝生」の語源について調べてみました。わが国の最古の造園書に、12世紀に出された「作庭記」という書物があるのですが、その中に「しばをふせ」という表現が出てきます。このことから、12世紀には既に庭に日本芝が使用されていたことが判ります。しかし、この時はまだ「芝」という漢字は使われておりません。「芝」という語が使用された最も古い記録は14世紀といいますから、今から600年程前になりますが、ある書物の中に「きり芝」という表現で出てきます。ただ、これは今の切り芝(ソッド)のことではなく、「芝刈り」のことを表わしてるそうです。「芝生」という語が最初に使われたのは、16世紀に書かれた「南方録」という書物であるとされています。

ある英語と日本語の比較についての記事によれば、英語が現在のものに近くなったのはせいぜい500年前位からであるのに対し、日本語は「源氏物語」が書かれた1000年前のミレニアムの頃には既に確立されており、現代にもちゃんと通用する素晴らしい表現を持っていたとのことです。この記事を読んで、改めて日本語の古さというか、奥の深さというものを感じさせられました。

「しばふ」という言葉についても然りで、この語に1000年近くの歴史があることを考えますと、言葉の重みというものを感じさせられます。私としては、この「しばふ」という言葉の重みを忘れることなく、「しばふ」を意味する数字「482」を大切に使って行きたいと思っております。そして、より多くの方々に「しばふ」に興味と親しみを持っていただけるよう、このホ-ムペ-ジ等を通じて、わが国における芝生文化の啓蒙、普及にも努めたいと考えております。現在、芝草の専門家以外の方々にも見ていただけるHPにすべく鋭意努力いたしておりますので、機会あるごとに当HPをご閲覧いただければ有り難いと思っております。

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