芝生の情報館

あなたにもできる!西洋芝の管理

8.西洋芝の年間管理計画

これまで、寒地型西洋芝の維持管理の概要を一通りご紹介してきましたが、実際にこうした維持管理を上手に行うためには、芝生管理についてある程度の知識を持っていただくことはもちろんのこと、それらを年間の管理作業の中に活かして行っていただく必要があります。そのためにはまず、いかに合理的な管理計画を立て、それをいかに忠実に実行できるかがポイントとなってきます。ここでは一つの目安(叩き台)として、当社が"是非ともこの程度の管理はやっていただきたい"と期待する年間管理計画表をご紹介しておきます。これをベースに、ご自分の居住する地域の気象条件や環境条件、芝生管理に掛けられる労力、ご予算などに合った独自の作業計画を策定してみてください。

西洋芝の年間管理計画の一例
(ベントグラス、ケンタッキーブルーグラス、ジョイターフ等)
作業内容 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 合 計
刈り込み ベントグラス(5~7mm) 1 1 8 毎日 毎日 毎日 毎日 毎日 毎日 毎日 15 8 247回
その他 0 0 4 8 8 8 8 8 8 8 4 4 68回
施肥     1 2 2 2 2 2 2 2 2 1 18回
薬剤散布(殺菌剤、殺虫剤)         1 1 2 2 1 1     8回
目土散布       1       1     2回
エアレーション       1       1     2回
手取り除草       1   1   1   1     4回
散水 随時 随時 随時 随時 随時 随時 随時 随時 随時 随時 随時 随時 随時

<補足事項>

  • ここでは月毎の回数でしか示しておりませんが、実際に立案される際には、週毎もしくは旬毎の作業計画を立てることをお勧めいたします。
  • 寒冷な地域や冷夏の年であれば刈込み、施肥、施薬の時期をずらしたり、回数を減らしたりできるでしょうし、温暖な地域や猛暑の年であれば、施薬の時期を早めたり、回数を増やしたりする必要もあるでしょう。
  • 施肥に関しては肥料の種類や施肥量、養分バランスなども重要です。これらについては「施肥」のページをご参照ください。

 

9.おわりに

先に、いかに合理的な管理計画を立て、それを忠実に実行できるかが芝生管理のポイントだと申しましたが、もちろん、趣味の一つとして芝生を管理される方がほとんどであるわけですから、芝生の管理に生活の全てを合わせることなどは到底不可能でしょうし、何事も予定どおりにはいかないのが世の常でもあります。ただ、ここで最後に申し上げておきたいことは、少なくとも寒地型芝草の芝生を上手に管理するためには、相当な覚悟と思い入れが必要だということです。今では国内にも芝生管理の専門書が数多くありますので(芝草関連書籍の紹介ページをご参照ください)、その中の1冊でも読めば、ある程度の知識は得られます。ですから、その道のプロでなくても、独自の管理作業計画を立てることは十分に可能です。しかし、プロとアマチュアの違いはその後なのです。どうしても趣味で芝生を管理される方は、ついつい日常の忙しさから手を抜いてしまいがちです。「まあ、1回くらい省いても大丈夫だろう」とか「今週は忙しいから来週にしよう」とか・・・。もちろん、多少の変更は仕方ありませんが、場合によってはその1回、その1週が取り返しのつかない結果につながってしまうこともあるのです。

その辺の作業の重要性や緊急性についての見極めというは、やはり、何年もの経験(時に、何度かの失敗)を経てはじめて身に付くものなので、残念ながらここでお教えすることはできません。ですが、ご自分でお立てになった作業計画を“きっちりと”守って、教科書どおりの管理を実践してさえいれば、そうした高度な判断が必要になることはそう多くはないはずです。つまり、“職業”ではなく、“趣味”として芝生を管理される方にこそ、合理的に策定された緻密な管理作業計画が必要なのであり、それを忠実に実行することが何より重要というわけです。ですから、少なくとも西洋芝管理の要領がつかめるまでの何年かは、できるだけ日常生活における芝生管理の優先度を上げていただき、可能な限りセオリー通りの管理を行っていただきたいのです。そして何より、芝生の管理(芝生を観察することも含めます)を炊事や掃除、洗濯と同じように、毎日の欠かせない「日課」としていただきたいのです。そうすれば、必ずあなたの腕前も上達してくるはずですし、それに応じてあなたの西洋芝もさらに美しい芝生となるはずです。そして、いつしかきっと西洋芝管理の奥深さと楽しさに気付かれ、芝生の管理を生涯の趣味として、末永く楽しんでいただけるものと思います。

 

最後に、西洋芝との出会いによって、あなたの人生がより豊かなものとなりますよう祈念いたしております。